オーロラは、極北地域で最も重要で壮観な光景の一つとして広く認められています。世代をこえて観察されてきたオーロラは、空を一連の鮮やかな色で染めます。伝統的に多数の神話や伝説の源となったオーロラは、今日、現代技術や旅行のおかげで世界中の観光客が鑑賞できるようになりました。しかし、観光客の中には、月によってオーロラに影響が及ばないのかと疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
それには「はい」とも「いいえ」とも答えることができます。満月の光によってオーロラが見えにくくなることはあるものの、オーロラが強力なときは月光の強さに関係なく見え、かえってオーロラ観賞体験がより印象的になることもあります。満月がオーロラにどのような影響を及ぼすかの詳しい説明については、先をお読みください。
オーロラと満月

オーロラという現象は夜間にしか見えません。これはオーロラの光を発生させる色が日光によって消されてしまうためです。9月から4月までの時期がオーロラの鑑賞に最適であるのはそのためです。空がオーロラの観賞に十分な暗さになるのはこの時期だけだからです。地球の自転軸の傾きにより、北極は夏季にはほぼ常時白昼で、冬季にはほぼ常時暗いため、夏季にはオーロラを目にすることはできません。
夜空の月は明るく見えるものの、月自体からは光は発生しません。実は「月光」は、太陽から発せられる光の反射なのです。月の満ち欠けがあるのはそのためで、満月 (月全体が見える状態) から新月 (月がまったく見えない状態) へと変化していきます。
このサイクルは、月が地球の周りを公転しているために発生します。自転と公転の同期のため、地球の表面から目にすることのできる月の表面は常に同じ側になっています。月の「裏側」が地球から見えることは決してありません。新月では、月と太陽は地球から見て同じ方向に位置するため、日光が月の裏側に当たり、地球にいる観察者には月が見えなくなります。満月では、月と太陽は地球から正反対の方向に位置するため、地球の表面から日光が当たる月面が完全に見えます。
オーロラは太陽風 (太陽によって放射される微粒子流を表す科学的用語) によって発生するため、月はオーロラの発生自体にはいかなる影響も及ぼしません。太陽風は、地球の磁気圏と接触すると放散・中和されます。磁気圏の大部分は宇宙空間にありますが、磁気圏は北極と南極によって形成され、磁気圏はこれらの点で大気と交差します。太陽風が大気圏に入ると、オーロラとして見える化学反応を引き起こします。
しかし、月が大量の光を反射し、オーロラの光を打ち消すことより、オーロラの可視性に影響が及ぶ可能性はあります。これと同じ効果は、都市やその他の人間の居住地からの光害によっても引き起こされます。オーロラの観賞に最適な場所が都会ではない孤立した地域であるのはそのためです。概して、オーロラの光が弱いほど、満月の光に遮られてしまう可能性も高くなります。月光は弱い光の星を見えにくくしてしまいますが、同様に、地上の観察者に見えるオーロラの光も放散させてしまいます。
とはいえ、より強いオーロラは、満月の光があっても見ることができます。実際に、オーロラの強さによっては、満月によってオーロラがより壮観に見える場合もあります。月が輝いていることにより、夜空が通常のオーロラが見える時の黒色ではなく濃青色になるため、北極圏の写真家の中には、実際に満月の最中にオーロラを撮影することを好む人もいます。
月の周期は約1ヶ月かかりますが、その間満月は1回しかありません。満月になるのは1日だけであるため、お客さまの旅行が満月の時期に合っていない限り、満月の最中にオーロラを観賞する可能性はありません。しかし、運良く満月の間に壮観なオーロラを見ることができた場合は、その経験はいっそう思い出深いものになるでしょう。
まとめ

一部の人の主張にもかかわらず、月はオーロラ自体には直接影響しません。比較的弱いオーロラなら満月によって見えにくくなってしまうことはありますが、より強いオーロラは満月から放たれる大量の光によってかすんでしまうことはなく、それによって実際にオーロラの美しさが高まることがあります。満月かどうかに関係なくオーロラについて興味をお持ちなら、旅行を予約して、生涯で最もエキサイティングな旅行の準備をしましょう。