北極光、いわゆるオーロラは北極圏で最も知られている観光スポットです。毎年、アラスカ、ノルウェーなどの北の国々に多くの観光客が、息を呑むような素晴らしい光景を見に訪れます。北極圏への旅行は、特に冬の期間、非常に高額になってしまいますが、では、本当にオーロラは北極圏でしか見られないのでしょうか。
オーロラは北極圏でのみ見られるのではありません。南極大陸でも見ることができます(南極ではオーロラ・オーストラリスと呼ばれています)。また、オーロラはニューオリンズなどの南の温帯地域で時々目撃されますが、一般的にオーロラは、やはり北極圏で見るのが最も簡単です。その理由をお話しましょう。
北極圏でのみオーロラを見ることができるのはなぜ?

オーロラは、太陽風(太陽から定期的に吹き出す電離した粒子)と地球の磁場との相互作用によって発生します。太陽風が磁気圏(地球の磁場によって生まれる保護バリア)に衝突する際、化学的相互作用により、地球の大気と磁気圏が交差する場所でオーロラが現れます。その交差する点は、北極と南極にあります。これは、地球の磁場が生成される場所だからです。
太陽風が磁気圏と衝突するときに発生する荷電粒子は、磁力線に沿ってのみ動くことができます。この磁力線とは、磁気圏を構成する電気力線です。磁力線は北極と南極で始まり、終わる場所のため、太陽風の多くの粒子が引き寄せられます。またここは、磁力線が地球の大気と交差する唯一の点であり、その線は宇宙にまで伸びています。
オーロラが北極と南極でしか見ることができない主な理由はこのためです。北極と南極は、オーロラを作るために十分な太陽風が集まる地球で唯一の地域です。その他の磁力線は、宇宙に向かって続いていくため、大気と交差することはありません。つまりその他の場所では、オーロラが現れるための十分な荷電粒子が大気に入ることができないのです。
また北極と南極でしかオーロラを見ることができない、もう一つの理由は、光と闇に関係があります。地球の軸は傾いているため、1年の異なる時期に、北極と南極で昼と夜に大きな差があります。 北半球の北極圏では冬の間、日中は光がほとんどなく、北極にはまったくありません。そのため、オーロラが見やすくなります。さらに南では、日が長く明るいため、オーロラを形成することはできません。これは、大都市や居住地のような明るい場所から離れた田舎で、オーロラが最もよく見られる理由でもあります。
一般的にオーロラは、太陽活動が異常なとき以外は、北極と南極でのみ見ることができます。例えば、1859年大規模な太陽嵐が発生し、キューバやハワイといった南の地域でもオーロラを見ることができました。しかし、太陽嵐は世界中で電気システムに大規模な損害を引き起こし、電信線が炎上するなど、労働者が感電する事故が発生してしまいました。今日でも、このような大きさの太陽嵐が起これば、世界の電気システムを壊す力があり、コンピュータやその他の機器に損傷やダウンタイムを引き起こす可能性があります。つまり、このような状況でオーロラを見ることは、少し悲しいことなのです。
オーロラは今後、地球の磁気シフトのため、世界の他の地域で規則的に発生するでしょう。科学者たちは、地球が45万年ごとに地磁気の向きが南北逆になる、地磁気逆転が起こると予測しています。この期間、各極がその他の極に動くと、極の位置にオーロラが発生し、赤道などの場所でもオーロラを見ることができます。
最後に起こった地磁気逆転は、78万年前に発生しました。つまり、科学者たちは、今後1000年または1万年後に次の逆転が起こると予測しています。そのため、生きている間に地磁気逆転が起こり、バルコニーや家からオーロラを見ることができるかもしれないと期待しないでください。
ただ、南極やその近くでオーロラを見ることはできます。しかし、南極大陸に旅行するオーロラ好きは、ほとんどいません。その主な理由は、南極は北極より気温が低く、海氷が厚く、人間の居住地があまりないため、北極圏よりも生きにくい場所だからです。南極は北極と比べ、はるかに孤立しているため、旅をする余裕がある科学者と少数の個人しか行きません。
最後に

基本的にオーロラは、生理学的および科学的な理由により、世界の極地でのみ発生します。オーロラは、北極圏や南極大陸以外でも時々見ることができますが、非常に珍しいことです。実際にオーロラを見たい方は北極圏へ行き、一生に一度のオーロラを是非体験してください。